繊維製品品質管理士(TES)について知っていますか?
繊維製品の品質管理のプロとして、繊維業界の未来を支える資格。
TES(繊維製品品質管理士)の魅力と可能性を解説します。
繊維製品品質管理士(TES)について知っていますか?
繊維製品の品質管理のプロとして、繊維業界の未来を支える資格。
TES(繊維製品品質管理士)の魅力と可能性を解説します。
繊維製品品質管理士(TES)とは?
”繊維製品品質管理士(Textiles Evaluation Specialist=TES)は、
一般社団法人日本衣料管理協会が認定する繊維産業・ファッションビジネス必携資格です。”
”繊維関連企業は、川上→川中→川下と多岐にわたり、TESはこの中の『品質』に関する消費者の要求事項について、各業種間をつなぐ
『パイプ役』を担っています。TESとは繊維製品の企画・製造や流通・販売を行う企業のなかで活躍する繊維製品のスペシャリストです。”
要するに、
私は消費者に向けて安心安全な商品作りを行うためのモノづくりのサポーター
だと考えています。
繊維製品品質管理士(TES)の役割とは?
繊維製品品質管理士(TES)の資格取得で得られることは?
公式のホームページでは”TESの強み”として取得した後に得られる効果を以下のように書かれています。
1 専門知識が付く
2 信頼を得られる
3 就職・昇進につながる
4 TES会に参加できる
実際、2018年に取得した私の経験談を交えて、取得後のお話をしましょう。
1 専門知識が付く
TES資格勉強の過程で必然的に知識のレベルアップに繋がることはあります。知らないことの方が多いぐらいです。
範囲も広く生産者側に近い”川上”から、販売する小売店側に近い”川上”どちらのことも学ばなければならないためです。
そしてTES資格勉強を通じて知識や経験の習得できる量と質は各段に上がったと感じています。
具体的には、
・専門分野外の知識も必要最低限知れるので話がスムーズに理解できる
・参考書に書かれていた内容をさらに深く、原理を含めて理解に繋がる
2 信頼を得られる
これがもっとも効果として実感できたことだと感じています。
具体的には、資格を持っていることで、得意先の方も「おっ、こいつは素人ではないな」と思ってもらえて、話してもらえたり、より具体的な相談に繋がることが増えました。
TES資格の合格率は25%程度と言われており、業界内でも資格取得にチャレンジした人は意外と多いです。 しかし実際に取得したとなると日常の仕事と並行して、広範囲な科目を勉強するため断念する方が多いです。
そのため取得しただけで「TES持ってるんですか?よくとりましたね!」と言われることが多く、同じ勉強をしたからこそ「この人頑張った人だな」と感じてもらえたりできるので、ビジネスにおいてはそれだけで”信頼してもらえる”ポイントが+1にはなります。
3 就職・昇進につながる
ここは多くの人が気になる点ではないでしょうか?
これは一概に言えず、各社により対応が異なるので会社にもよりますが、
資格の参考書や試験代を会社が負担してくれたり、取得することで毎月の昇給アップにつながる企業は実際にあります。
※私が勤めた企業はどちらもありませんでしたので大きな出費でした…
しかし自腹で取得しただけのリターンは個人的にはあったと感じています。
私が当時勤務していた会社では資格取得で昇給はありませんでした。
しかし、当時の社長からボーナスを上げていただくことができました。
その数年後には大手スポーツメーカーの生産管理職として転職できました。
その際にもTES資格を取得していることが評価されました。
また転職サイトやエージェントのプロフィール欄に資格を記載しておくと、TES資格が目当てでスカウトメールが意外と来ることがあります。
4 TES会に参加できる
TES会は4つの特徴あります。
・工場見学
・様々な講演会・勉強会
・苦情品研究
・交流の場
なおTES会に入会するためには入会費と年会費が必要になります。
・入会費:2000円
・年会費:6000円
私は参加したことがないため、お話しできる内容がありません。
身近にもTES会に参加されている方がいないため情報もありません。
ただ工場見学大好きな私としては定期的に見学させてもらえることは羨ましい!と感じるポイントですね。
繊維製品品質管理士(TES)の活躍の場
1 繊維素材・製品メーカー
TES資格者は、繊維原料や素材の開発・品質管理、製品設計から生産までの工程で活躍。
生産トラブルの原因究明や品質基準の策定を通じて、高品質な製品を安定供給します。
2 アパレル・衣料品企業
商品の素材選定や染色・加工の検討、量産時の品質管理を担当。不良品の発生を防ぎ、
企画から製造までのプロセスを円滑に進めます。
3 小売・流通企業
自社ブランド商品の品質保証やバイイング業務を支援。
商品選定の信頼性を高めるとともに、顧客満足度の向上に貢献します。
4 検査機関・研究機関
繊維製品の物性試験や耐久性テスト、新技術の研究開発を担当。
品質評価やトラブル調査のスペシャリストとして業界を支えます。
5 クリーニング業界
繊維の性質に基づく最適なクリーニング方法の提案やトラブル時の対応策を提供。
衣類メンテナンスの専門家として、消費者とクリーニング業界をサポートします。
6 スポーツ・医療・インテリア分野
スポーツ分野: 高性能スポーツウェアやギアの開発を支援。
医療分野: 衛生用品や医療用繊維の品質保証を担当。
インテリア分野: 家具や内装素材の品質管理、耐久性の向上に寄与。
人によっては意外に思われる業界でもtesは活躍しているんですね。
繊維製品品質管理士(TES)資格取得の難易度と特徴
繊維製品品質管理士(TES)の合格率をGoogleで検索すると約25%程度と表示されました。
25%の資格となると宅建と同じレベルのようです。
実際に公式ホームページで発表されている直近2年の合格率の結果です。
難易度も高いことから繊維の大手企業でも有資格者はごくわずかで一桁台の会社もあります。
公式ホームページでは業界別、企業名別でTES資格の所有者がみられる資料を公開しています。
こちらも資格取得や転職などの際に活用してみてはいかがでしょうか?
出典:一般社団法人 日本衣料管理協会 公式サイト(PDF)
よくある質問にお答えします!
Q: 試験はいつあるの?
これは受験年に公式ホームページをご覧ください。
一番確実です。
直近の2024年の試験日程はこちらです。
祝日の海の日の前日が多かったように記憶しています。
Q: 試験の会場はどこになるの?
こちらも受験年に公式ホームページを見て頂くことが確実です。
毎年同じ試験場で実施されていると思います。
私は試験場まで片道2時間かかったため、始発に出発し1科目を受験しました。
試験場とお住まいの場所によっては、事前の交通経路の確認や宿泊等が必要になる方もいるかもしれませんね。
Q: 試験の費用はどれぐらいかかるの?
こちらも公式ホームページをご覧ください。
私は自腹での受験でしたので、3回目を受けたときは痛い出費でした…
ちなみに参考として、費用を以下の表にまとめてみました。
試験代以外に、会場までの交通費や試験時間もほぼ一日で食事も用意していかなければなりません。
受験前
受験1回目
受験2回目
受験3回目
合格後
実は、合格してからも費用がかかります。
更新時
実は、更新時にも費用が発生します。
Q: 資格取得にはどれくらい勉強が必要?
私の学習時間の目安や勉強方法を紹介します!
受験当時は平日は営業の仕事を朝9時から夜20時まで行っていました。
また結婚&子供が生まれたばかりだったこともあり、まとまった勉強時間の確保が難しかったことを覚えています。
そのため受験の半年前から勉強を始めて、平日は通勤電車の往復で約2時間参考書を読みました。
平日の水曜日のみ仕事終わりに2時間カフェで勉強をさせてもらえるように家族と相談し受験に臨みました。
あとは仕事と関連しているため、社内外の問い合わせなども都度参考書を開き触れる機会を増やしていました。
Q: 一発合格って本当にできるの?
私自身は3回目でやっと合格できました。
TES資格は5科目ありますが、合格した科目は次の年から数えて3年間持ち越しできます。
そのため、1年目で1・2科目合格、2年目で3・4科目、3年目で5科目を合格することも可能です。
その分費用は掛かりますが…
私の周りにも一度で取得した方が数名いらっしゃいました。
しかし大半の方は日常の業務と並行して試験勉強するので一発合格はかなり難易度が高いように感じます。
新卒で入社一年目で取得した方は複数見受けられました。
業務が本格的に忙しくなる前に取得するのも良いかもしれません。
出題範囲が広いので短期間での詰め込み勉強には不向きな教科が多いように思います。
時間をかけて勉強すれば一発合格も狙えるかもしれません。
Q: 資格を取得しても意味がないって本当?
活かすも殺すも人それぞれです。
私は”繊維製品品質管理士(TES)資格取得で得られることは?”でお話ししたように取得してメリットを感じている人間です。
お客さんが困ったことがあったら勉強したことが問題解決の糸口になったり、説得力もあがったと感じています。
名刺に記載することで、TES資格をご存じの方にはそれなりに認識をされますし、受験話で盛り上がったりもします。
「この人はそれなりに知識がある」という目で見てもらえることは、相手への”安心”につながり”信頼”してもらえていると
思っています。仕事をする上で”信頼”は必要不可欠だと思うのでそれなりに効果があったと実感しています。
私はこの資格でボーナスアップや転職が叶いました。
また、条件が希望に合うかどうかは別問題ですが、転職エージェントからスカウトメールが来ます。
個人的には、資格取得により仕事において自分に自信をもつことが出来たことが最も良かったことかもしれません。
持っているだけではただの飾りかもしれませんが、どのように活かすか?何のために取るのか?で変わると思います。
Q: 資格が取得できれば勉強しなくていいですか?
資格はあっても日々学びは欠かせません。
資格を取得しても、圧倒的に知らないことの方が多い業界です。
また流行や法改正、新しい技術により常に変化し続ける業界でもあります。
参考書に記載されている情報だけでなく生産現場での経験や知識を学び続けることは大切だと感じています。
そのため日常の業務でいかに学び続けるかは大切です。
そのため効率よく知識を吸収するための土台がTESという資格だと私は思っています。